アイランド新宿法律事務所 弁護士 木村 峻郎

木村峻郎弁護士解説「知的財産権法制度の歴史」

木村 峻郎 解説 知的財産争訟の法制度の歴史 その1

平成11年度改正から

権利侵害に対する救済措置の法制度と具体的規定、効果を改正年度別に説明しています。

侵害行為の立証の簡便化(特許法第104条の2、第105条)

※相手方の行為の立証に必要な書類の提出命令等の規定を創設した。

損害立証の迅速・簡便化(特許法第105条の2)

※膨大な経理会計に関する専門的書類の解読のため、計算鑑定人制度を設け、当事者に計算鑑定人に対する協力義務を課した。計算鑑定人制度の導入。

判定制度の強化 工業所有権紛争の早期解決及び訴訟解決手段の充実・強化を図るべく、特許発明の技術的範囲を特許庁が判断する判定制度について証拠調べ等の規定の整備を行った。

損害額の立証の容易化(特許法第105条の3)

※確信を得るに足る立証のされた事実だけでなく、裁判官の裁量により相当といえる範疇の蓋然性がある事実まで考慮して、「実質的な」規模の損害賠償の実現を図った。

※工業所有権紛争の早期解決及び訴訟解決手段の充実・強化を図るべく、特許発明の技術的範囲を特許庁が判断する判定制度について証拠調べ等の規定の整備を行った。

刑事罰の強化(特許法第201条)

詐欺行為罪及び虚偽表示罪について、法人重課を導入(詐欺行為罪・虚偽表示罪、300万 → 1億円)。

裁判所と特許庁との侵害事件関連情報の通知交換(特許法第168条3~4項)

平成14年改正から

権利保護を強化するため、特許登録された発明であること及び供給することが侵害に用いられることを知りながら、で部品等一部を供給する行為についても、間接侵害と範囲を拡大した。

平成16年改正から

「キルビー特許事件」の最高裁判決による権利濫用の抗弁を条文化する形式により、侵害訴訟において侵害裁判所が特許の有効性を判断することを認めた。

尚、侵害裁判所の権限は、理由が有無を認めるのみで、権利行使ができない(無効ではなく、制限)だけであった。

営業秘密の秘密保持命令(特許法第105条の4~第105条の6)、

特許権侵害訴訟において営業秘密について陳述する必要がある場合には、当事者等に対し裁判所が秘密保持命令を発することができることとした。更に、裁判の公開の原則に対する例外として、当事者に対する尋問等を非公開とできるようになった。

これにより、日本国内では、契約の合意管轄条項で、「仲裁」ではなく、「裁判」を選択する契約書が増えた。

平成18年改正から

模倣品・偽物対策

模倣品の輸出を侵害行為のひとつに追加した(産業財産権四法)。

譲渡・販売を目的とした模倣品を所持する行為についても、既に侵害行為とし、追加した(意匠法、特許法、実用新案法)。

続く