木村峻郎弁護士講演「仲介業務をめぐる法律問題PartⅦ-3」

木村峻郎 講演 仲介業務をめぐる法律問題PartⅦ
引き続き、木村峻郎弁護士が信託契約と遺留分侵害について、説明していきます。

第3.信託契約と遺留分侵害
1.具体例
被相続人Aが長男Bに対し「土地の不動産を信託譲渡する」旨の契約を締結したが、その後Aが死亡し「AB間の信託譲渡契約が他の相続人Cの遺留分を侵害している」ことが判明した。
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①「Cの遺留分減殺請求権の行使」により、Bは譲渡を受けた信託財産をAの相続財産に戻す必要がある。
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②Cから減殺請求を受けたBが信託不動産を他に売却してしまった場合、判例は「Cに対する不法行為(民法709条)が成立する」としてBに損害賠償責任を認める。

 ※BがCから減殺請求の通知を受ける前であっても、Cが減殺請求をすることが十分予想される場合には、Bの信託譲渡を受けた土地の売却行為は不法行為が成立する場合がある。

2.コンサルタント会社の留意点
 ①遺留分侵害の事案は相続をめぐる裁判の中では最も数が多い紛争である。そのため遺留分侵害のおそれがある信託契約については依頼者に対し必要な説明を行う必要がある。
 ②Aが保険会社と「Bを受取人とする保険契約を締結し、Aが死亡した際、Bが支払を受ける保険金を遺留分侵害の際における弁償金として備える」ことも可能である。
 ③なお、前記②の弁償金の準備のため、被相続人が生前、不動産を売却しておくことも事案によっては効果的である。

※判例は「保険金は原則として相続財産ではない」と判断している。

第4.詐害行為と信託契約(信託契約の悪用)
1.委託者がその債権者を害する目的で行った信託契約は「詐害信託」となり、受託者が債権者を害するものであることを知っているかを問わず、債権者は受託者または受益者を被告として信託の取消しを裁判所に請求することが出来る(信託法11条1項、4項、5項、民法424条)。

2.詐害行為が成立する場合には更に不法行為を理由として損害賠償責任(民法709条)を追及される危険性があるが、当該信託契約の締結に積極的に関与しているときは共同不法行為(民法719条)の責任が負わされる場合もある。

3.詐害行為が成立する場合、債権者は信託財産に対し強制執行や仮差押えをすることができる。
etc.

以上
アイランド新宿法律事務所