木村峻郎弁護士講演「仲介業務をめぐる法律問題PartⅦ-2」

木村峻郎 講演 仲介業務をめぐる法律問題PartⅦ-2

前回に続き、木村峻郎弁護士が厳選したテーマ信託制度に入っていきます。

第2<信託制度について>
1.信託制度の機能
(1)親族の生活保障を確保する機能
   将来Aが他界した後、「認知症を患っている妻Bの介護・生活保障」を確保するため、賃貸マンションを受託者である長男Cに信託譲渡し、受益者Bの介護費用として支出させる。
  ※将来Aが他界した後「重度障害者の子Cを受益者として介護・生活保障」するための機能   etc.
(2)成年被後見人制度を補充する機能
将来Aが所有不動産を売却する計画があるが、高齢のため売却時には判断能力を喪失して売却することが出来なくなる危険性がある。そこでこの場合、予め長男Bに売却不動産を信託譲渡をしておき、Bが売主として売却できる様にしておく。
2.<コンサルタント会社が信託制度の利用を勧め、信託契約書案を作成する際の注意点>
①コンサルタント会社の説明義務
   コンサルタント会社は法律上コンサルタント業務を遂行する際は依頼者の利益を最大限に確保するため「善良なる管理者としての注意義務(善管注意義務)を尽くさなければならない」とされている。
      ↓
  ②そこで依頼者に信託契約の締結を勧める場合、依頼者が取得出来る利益とともに当該信託契約によって依頼者ないしその関係者に生じるリスクの内容を説明する義務がある。
      ↓
  ③説明義務違反=債務不履行によるコンサルタント会社の損害賠償責任(民法415条)。
   

3.<コンサルタント会社が顧客に説明すべき事項例>
(1)受託者が死亡した場合の法律関係
①受託者の相続人の義務 
信託行為に別段の定めを設けていない場合、相続人は受益者に対し「受託者が死亡したことにより受託者の任務が終了した」旨を通知すること。

◎罰則規定の存在
受託者の相続人等は、上記の通知を怠った場合又は不正の通知をした場合には、刑が科される他、100万円以下の過科に処せられる(信託法270条1号)。

②受託者の相続人は「新受託者が信託事務の処理をすることが出来ることになるまでの間、信託財産を保管し、信託事務を引き継ぐまでに必要な行為」をしなければならない。
 
   ◎違反の場合は損害賠償責任を負う。

(2)受託者の利益相反行為の禁止
  禁止される利益相反行為(信託法53条)
イ 信託財産を受託者の固有財産に帰属させ、又は受託者の固有財産を信託財産に帰属させること。
  ロ 信託財産を他の信託の信託財産に帰属させること。
  ハ 第三者との間において信託財産のためにする行為であって、自己がその第三者の代理人となって行うもの。
  ニ 信託財産につき「受託者の固有財産で履行する責任を負う債務」に係る債権を被担保債権とする担保権を設定すること、その他第三者との間において信託財産のためにする行為であって、受託者又はその利害関係人と受益者との利益が相反することとなるもの。

(3)受益者の死亡 
受益者が死亡した場合「受益者の死亡が信託終了事由」として特に定めていない限り信託は継続する(信託法163条9号)。
etc.

次回へ続く

以上

アイランド新宿法律事務所