アイランド新宿法律事務所 弁護士 木村 峻郎

木村峻郎弁護士解説「契約のポイント完全合意条項2」

木村峻郎先生が解説 完全合意条項2

第1回にアナウンスした 完全合意条項が日本で認められた判決例を紹介していきます。

参考文献
完全合意条項の効力を認めた判例

⑴東京地裁平成7年12月13日判タ938号
完全合意条項を認めた日本で最初の判例
(一部抜粋) 裁判所は、本件株式譲渡契約の締結に関与した者がいずれも会社の役員や弁護士であり、右のような事務に関しては十分な経験を有し、 契約書に定められた個々の条項の意味内容についても十分理解し得る能力を有していたというべきであるとした上で、
事務に関しては十分な経験を有し、契約書に定められた個々の条項の意味内容についても十分理解し得る能力を有していたというべきであるから、本件においては、右条項にその文言どおりの効力を認めるべき である。すなわち、本契約の解釈にあたっては、契約書以外の外部の証拠によって、各条項の意味内容を変更したり、補充したりすることはできず、専ら各条項の文言のみに基づ いて当事者の意思を確定しなければならない。

⑵東京地裁平成18年12月25日1964号106頁判例
要旨 液晶パネル等の特許ライセンス契約における最恵待遇条項(most favored clause)の合意の有無について、本件契約上の完全合意条項及び修正制限条項の規定が設けられていることから、記載のない最恵待遇条項は認められないとした。また、本件契約には完全合意条項が設けられているから、本件契約締結前に最恵待遇条項の合意があったとしても、本件契約に明記されていない最恵待遇条項を含む契約が成立いえないと否定した。
参考文献
最恵待遇条項は、本件契約の根幹である実施料の支払方法につき変更をもたらすものであり、当事者双方に対して重大な影響を及ぼすものであるから、本件契約に最恵待遇条項を設けることは被告にとり重要なことであり、その内容について原告と被告との間で合意が成立していたのであれば、その合意内容が本件契約書に記載されていたはずであるが、本件契約書には、そのような条項は設けられていない。また、本件契約書には完全合意条項が設けられているから、仮に契約締結前に、C と D との間で最恵待遇条項の合意が成立していたとしても、原告と被告との間に、本件契約書に明記されていない最恵待遇条項を含む契約が成立したものとは認め難い。これに対し、被告は、本件における完全合意条項の規定は、「許諾製品・許諾特許・ライセンス料・グラントバック」についてのみ適用されるもので、最恵待遇の 原則を積極的に否定するまでの効果は有していない旨主張するが、被告は原告から事前に本件契約書の内容を示され、確認した上で調印したのであるから、完全合意条項が適用される範囲を被告が主張するように限定的に解釈すべき理由は見出し難い。
本件契約には修正制限条項が設けられており、書面により、かつ両社の代表役員らによる正当な修正を経なければ、いかなる修正又は補正も有効でなく、両当事者を拘束しない旨明記されているのであるから、原告を代表する権限のある役員ではない C が、被告の一社員にすぎな い D に対して送付した本件書簡をもって、原告と被告との間に、本件 契約を修正し、最恵待遇条項を設けるという効果を発生させる合意が 成立したものとは認め難く、他に、本件契約締結後に原告と被告との間で最恵待遇条項の合意が成立したことを認めるに足る証拠もない。

完全合意条項の有効性を直接的には判断していないが、有効であることを前提としている地裁判決例
⑶名古屋地決平成 19 年 11 月 12 日金判 1319 号 50 頁
完全合意条項の効力を認めなかった裁判例
⑷知財高判平成22年9月29日裁判所ウェブサイト