木村峻郎講義「事業の執行についての意義,取引行為的不法行為,手形の偽造行為等」

木村峻郎講義
「事業の執行についての意義,取引行為的不法行為,手形の偽造行為等」

「事業の執行について」の意義
【取引行為的不法行為(手形の偽造行為等)】

行為の外形からみて被用者の職務の範囲内の行為に属するものとみられる場合をいう(外形標準説、大連判大15.10.13)。
∵使用者責任は、正当な権限の存在に対する信頼を裏切られた相手方の保護という機能を持つ。

もっとも、外形標準説は相手方の信頼を保護するものであるから、相手方が職務の範囲外であることについて悪意又は重過失ある場合は適用されない(最判昭42.11.2、百選Ⅱ84事件)。

【事実行為的不法行為】
①危険物型(自動車事故等)
外形標準説(最判昭39.2.4)
②暴行型
事業の執行行為との密接関連性(最判昭44.11.18)、暴力団の資金獲得活動と殺傷行為の密接関連性(最判平16.11.12、百選Ⅱ83号事件)
∵報償責任の原理
(注)①型について、外形に対する信頼は問題とならないから、外形標準説は妥当せず、報償責任の原理から、使用者の支配領域内の危険か否かを基準とすべきであるとする説がある。

アイランド新宿法律事務所代表弁護士木村峻郎