木村峻郎弁護士講義「被害者の過失④身体的要因」

木村峻郎弁護士講義
「被害者の過失④身体的要因」

被害者の過失 その4

木村峻郎弁護士が、厳選し、解説しております。

【身体的要因】
被害者に対する加害行為と加害行為前から存在していた被害者の疾患とがともに原因となって損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度等に照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平に失するときは、裁判所は損害賠償の額を定めるにあたり、722条2項を類推適用して、被害者の当該疾患を考慮することができる(最判平8.10.29、百選Ⅱ94事件)
∵被害者の「過失」ではなく、直接適用できないが、損害の公平な分担という722条2項の趣旨は妥当する。
     
もっとも、被害者が平均的な体格・体質と異なる身体的特徴を有するが、それが疾患に当たらない場合には、原則として考慮することができない(最判平8.10.29、百選Ⅱ94事件)
∵人の身体には当然に個体差があり、個体差の範囲内の身体的特徴を要因とする損害の拡大は、当然に予定されている。

(終)
以上

アイランド新宿法律事務所代表弁護士木村峻郎

引用:辰巳法律研究所「趣旨・規範ハンドブック2」