木村峻郎弁護士が、解説!「(時事)テロ等準備罪改正組織犯罪処罰法,共謀罪法 11日施行」

木村峻郎弁護士が、解析!時事テーマより
“テロ等準備罪(共謀罪改案)””改正組織犯罪処罰法”11日施行

“テロ等準備罪(共謀罪改案)”を新たに設けた”改正組織処罰法案”が、先月6月15日に可決され、”改正組織犯罪処罰法”として、明日の7月11日施行されることになりました。

今回は、「改正組織処罰法案(正式名称;組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律)」”テロ等準備罪”新設の具体的内容、可決までの流れを解説していきます。

「国際組織犯罪防止(TOC)条約」(注)の締結には、この法案の成立が必要との主張により、”共謀罪”の新設が必要とされたが、3度廃案となっています。

(注)「国際組織犯罪防止(TOC)条約」とは?
2000年に国連総会で採択され、2003年発効となりました。具体的な内容は、重大な犯罪の実行(準備段階も含めること。処罰時期の早期化)についての合意,犯罪収益の資金洗浄を”犯罪”と定義、条約の対象となる犯罪に関する犯罪人引渡手続を迅速に行う努力義務、また、捜査、
司法手続において、相互協力すること等が定められております。

ニュースでは、”共謀罪””テロ等準備罪””改正組織犯罪処罰法”が、同又は類似の意味・目的語として、置き換えられ使用されています。混乱される場合もあるのでは、ないでしょうか?

はじめに、詳細な意味・位置付けを説明していきます。

共謀罪;
「国際組織犯罪防止(TOC)条約」の発効後、
日本も条約締結することを目的として、3度提案されましたが、全て廃案となっています。
当初”共謀”2人以上で、”合意”があれば処罰の対象となっておりました。
3度目の法案では、最終的に”組織犯罪集団”に限定し、”合意”だけでは足りず、”合意+準備段階”も必要とされました。

テロ等準備罪:
正式名称(条文);テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
概要 日本の現行法では、発生した犯罪についてのみ処罰できることを前提としています。
名称”共謀罪”を改め、具体的な277の犯罪を処罰の対象としました。

改正組織犯罪処罰法:
正式名称;”組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律”の中に”テロ等準備罪”が新設されました。

条文抜粋 “改正組織犯罪処罰法 テロ等準備罪” より

(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
第6条の2 の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち 、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次 項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を 二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、 関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定め る刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
⑴ 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定め られているもの 五年以下の懲役又は禁錮
⑵別表第4に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年以上の懲役又は禁錮
年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるも のの遂行を二人以上で計画した者も、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物 品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、同項 と同様とする。
3 別表第4に掲げる罪のうち告訴がなければ公訴を提起することができないものに係る前二項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
4 第1項及び第2項の罪に係る事件についての刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第198条第1項の規定による取調べその他の捜査を行うに当たっては、その適正の確保に十分に配慮しなければならない。
-抜粋

(PDF)改正組織犯罪処罰法”テロ等準備罪”法務省条文より

参考記事一部 抜粋
「共謀罪」法、11日に施行=懸念払拭が課題
 「共謀罪」の構成要件を改めた「テロ等準備罪」の新設を柱とする改正組織犯罪処罰法が11日、施行される。
 同法は刑法の既遂処罰の原則を転換するだけに国民の不安は根強く、政府には捜査当局による恣意(しい)的な運用を排し、国民の懸念を払拭(ふっしょく)することが課題となる。
 過去に廃案となった法案に盛り込まれた共謀罪は、重大犯罪の謀議に加わること自体で成立する犯罪。テロ等準備罪は、重大犯罪の計画だけでなく、準備行為を構成要件に加えた。対象となる罪は組織的な殺人や人身売買、薬物取引など277。適用対象には「組織的犯罪集団」のほか、「周辺者」も含まれる。
 国会審議では、野党から「内心の自由が脅かされる」「一般市民への当局の監視が強まる」といった指摘があった。法務省は施行に先立ち、全国の検察に通達を出し、「捜査に当たっては適正の確保に十分配慮しなければならない」と要請。取り調べの録音・録画(可視化)をできる限り行うよう努めることも求めた。 
テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法は6月15日朝、参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。これにより、一定の要件を満たすことを条件に、犯罪の実行前の段階で処罰可能な範囲が広がることになります。
時事通信より、20170709